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ある人物のある役割

2011.12.03 06:16|狼陛下の花嫁 ss

*狼陛下の花嫁(黎翔×夕鈴+息子)
*ss7

【重要】

・未来設定
・今回も息子中心のお話
・息子+ちょこっと夫婦みたいな・・・

それでも読んでもいいよ、という方は"続きから読む"よりご覧ください(><)!!




(普通さ、皇太子って大事に王宮で守られるものじゃないの?)


見渡すかぎりの人、人、人。
露店が建ち並び、あらゆるかけ声が飛び交う、ある路地で。

宮殿の気韻あふれる雰囲気とは全く異なる風景に、僕は一つため息をついた。



(まったく、とんだとばっちりだよ。)



自分が此処へと遣わされた原因を思い返し、頭が痛くなる。



『殿下!!』


それはそれは必死な形相の、父親の側近が。僕の自室に駆け込んできたことからこんな状況になったのだけれど。

それ以前に大本の原因が、いつものあれな訳で。

毎度のようになにかと振り回され続けているそれに、僕はため息をつかずにはいられない。



(だから何で、あの事になると僕が対処しなきゃいけないの。)




実際、僕以外で処理ができる者が居ないからなのだけれど。

何故、両親の喧嘩の仲裁に子の僕が入らなければならないのか。物心がついたときから、両親に関して手に負えない事があると、自然と全て僕に回ってくるようになっていて。そんな役割を担わされるようになったこの定めが憎い。



(しかも、今回は、)



父親に愛想をつかして、生家に戻り引き込もってしまった母親を。



(上手く丸め込んで連れ戻してくる、だなんて。)


僕の役目ではない。それが正論、だと思うのに。

仕事はこなす。が、殺気はただ漏れ、今にも眼光だけで人を殺めてしまうのではないかというほどの、父親の荒れ具合が。

あまりにも恐ろしく、それが早、三日続いているものだから。氾 水月は出所拒否、官吏たちはもはや半死人状態、柳 方淵ですら口を封じる始末。

いつもは冷静な李順が物凄く、焦って、必死で懇願する勢いに。

つい、承諾してしまったのだけれど。



(めんどくさい。)



これから自分がしなければならないことを思うと、出来ることなら関わりたくない思いでいっぱいだ。


けれど。
ここで引き返しても王宮で待っている父親の方がめんどくさい状態なので。


(ささっと終わらせよう。)


そう決意し、母親の生家の戸を叩く。



「はーい。」


中から男の人にしては、やや高めの声がして、がらっ、と戸が開かれたと思ったら、直ぐに中から優しい面差しをした人が現れた。


「連絡もなしに、突然すみません。」


その人物に僕は丁寧に挨拶をする。
戸を開けて急に現れた僕に、彼は驚いたのか一瞬固まって。けれど、直ぐに立ち直って、いつものようににこりと僕に微笑んだ。


「わぁー、久しぶりだねぇ。」

「えぇ、お久し振りになります。叔父上様。」

「あはは、そんな他人行儀はよしてよー。」


叔父さんでいいからさぁ。と変わらず笑うこの人が僕は昔からとても好きだった。


「ありがとうございます。青慎叔父さん。」



僕もつられて笑いかえす。王宮にはない、柔らかな雰囲気にやっぱり母上の実家だなぁ、と思ったところでふと気づく。


「あの、」

「あー、姉さん、だよね?」


君も大変だね、という目で青慎叔父さんは僕をみる。それに僕は、叔父さんもね、という視線で返した。


お互いにはぁー、っと深いため息をつく。


僕が両親に振り回される苦労を分かってくれ、同じ立場に立たされやすい叔父さんは唯一の理解者でもあったのだ。


「君が来る前に、使者の人や、官吏、女官とたくさんの人がきたんだけど。」


まったく、帰ろうとしないんだよね。と困ったように叔父さんは笑った。


「まぁ、一度決めたらなかなか折れない母上ですから。」



視線を合わせ、目で語る。言葉にしなくともその先は通じてしまうから恐ろしい。


そして、頑張ってねと励まされながら通された場所で。

それは生き生きと洗濯物を干す、母親がいた。
ご機嫌なのか鼻唄までまじっている。あまりにも集中して作業しているのでまったく自分には気づいていないようだった。


「母上。」


逃げられないように出来るだけ気配を消して、近づき話しかける。


「うわっーっと!!」


突然現れた僕によほど驚いたのか。持っていた洗濯物を放り投げ、そのほとんどが僕に被さった。


「母上…」


それを呆れながらも、退かして目の前の母親を見る。


ご、ごごごごごごめんねぇー!!と母上は物凄い勢いで洗濯物を取り去った。



(これで正妃なんだから…)



下町で楽しそうに家事をする人物を、誰があの狼陛下の寵妃だと思うだろうか。

子ながらその平凡な目の前の母親に、どうしても違和感を拭いきれない。



「そんなことより、母上。」



びくり。
母親は僕の様子に体を震わせる。



「そろそろ、戻る気にはならない?」



その言葉を発した途端に、それは分かりやすく逃げ腰になった。



「だーめ。これ以上逃げるのは禁止だよ。」



それに僕は逃げる経路を防ぐと、にこりと笑いかける。


「父上もさ、本当に知らなかったんだよ。」


早く、こんなこと済ませたくて、直ぐに本題に入り告げると、今度はうつむき、母上は立ち尽くしてしまった。


「だから今回は許して――――…」



あげてよ。と言うはずだった言葉を、思わずのみ込む。流石に予想外の展開に僕は思わず目の前を凝視してしまった。



「は、ははう「知ってたわよ…」



先ほどまであれほど楽しそうにしていたのに。急に泣き出してしまった母親にどうしていいのか分からない。


「分かってた…けど、だってしょうがないじゃない…それでも許せなかったんだもの、嫌だったんだもの…」


ぽろぽろぽろ。
次から次へと流れ落ちていくその涙に、困り果てる。


(こんな展開は予想してなかったよ…)



怒って聞く耳を持たない母親を想像していた。いつもはそうだったのだ。こんな展開、僕は知らない。

ただただ泣き続ける母親を、今日中に王宮に戻すなど無理だし。



(あー、もうどうしたら…)



そう本気で悩んでいた時、
ぎゅっ、と何かが僕に抱きついてきた。



(な、ななな何!?)


直ぐに自身を見ると、なんと母上が抱きついていた。



「ちょっ、と、はは「陛下―――――…」



驚いて離れようとするが、その一言に僕は固まる。
すると、母上はスッと腕をほどき、僕の顔をじっと見た。



「陛下に会いたい―――――…」



(こっちもか。)


僕の顔を見て呟く母親に、いつだか同じ様なことがあったと思い返して、ため息をつく。



「僕に父上を重ねてまで、会いたいのなら戻ろう?」

「でも、会わす顔がないわ…」


そう言うとまた僕にぎゅっ、と抱きついた。



「いくら僕が父上に似ているからって、父上じゃないんだよ?」


そう諭すも母上は黙ったまま動こうとはしないようで。



(まったく、)



両親そろって僕に相手を重ねるのは止めて欲しい。と、本気で思う。

とりあえず全く動く気配のない母親をぽんぽん、と背に触れて宥めてみる。焦れったく、結局連れ戻せないだろう、変化のない状況。苛つきも限界に達していた。


(いい加減あっちにも、ね。)



スッと視線だけ動かして、その気配のする方を確認する。まだ諦めないようでこちらをいつまでも伺っていた。


(来るな、)


と思った途端に、何かがこちらに飛んでくるのを捕らえた。急いで母親を背に庇い、隠していた短刀で打ち払う。



「浩大!!」



近くにいるだろう隠密を呼ぶ。



「はいはーい。ここにいるぜー。」



場に似合わない明るく、茶化すような声が間近からした。



「あれを振り落とすなんて、さっすがだねー。殿下っ」



まぁ、あれくらいなら大丈夫だとは思ったから手を出さなかったんだけど。と隠密らしからぬことをいう浩大に、更に苛つきが増す。



「大ちゃん?」



にこり。
仕事しろ、と微笑みかけると浩大はびくっと一瞬体を震わせてから、はーい…と小さく答え、向かい来る刺客に応戦し始めた。



「母上、とりあえずここを離れないと。」



あとの事は浩大に任せ、母上を安全な所へ移そうと試みる。



「ご、ごめんなさい。私がこんな所に一人でいたから…貴女にも危険な目に…」



この状況に母上は罪悪感でいっぱいなようで、慌てていた。



「それは気にしないで?というよりも僕に着いてきた奴等だし。」

「え?」



宥め、屋内に入ろうと戸に近づくと、一人隠れていたのか目の前に刺客が現れる。



「皇太子だな!?」



男は僕に問いかけた。
目をぎらつかせ、今にも襲いかかりそうな雰囲気を醸し出している。



「だったら?僕凄く、機嫌悪いんだけど。」



退いてくれない?と睨み付ける。けれど頭が悪いのか。



「ははっ、だとしたらそこにいるのは皇太子様の秘密の恋人か!!味方は一人、手には恋人、もはや皇太子様も此までだな!!」



男は下品な笑い声をたて、僕にじりじりとにじり寄って来る。


(ばかか。)


呆れてものも言えない僕に、



「まぁ、そちらのお嬢さんはかわいそうだしなぁ。こちらに寄越すなら、可愛い恋人の命だけは助けてやっても良いぜ。」



何を勘違いしたのか。男は更に頭の可笑しなことをぬかし、母上に舐めるような、その穢らわしい視線を送った。



(馬鹿馬鹿しくてやってられないよ。)


刺客としても、人間としても腐りきっている目の前の男に、手を下すのもめんどくさくなる。




「ねぇ。」

「なんだ?寄越す気になったのか?」


男は全く僕の様子に気づかず、まだ的外れな事ばかりほざいている。



「この人、僕のじゃないよ。」

「は?」

「君みたいな、というより全ての男には手の届かない存在なんだよね。」

「?」

「欲しい、っていうなら命一つじゃたりないよ。」


そんな覚悟ある?そうは言ってみたけど、


「何いってんだ!?恐怖で頭が可笑しくなったか!?」



こんな小物にそんな覚悟なんてないに決まってるよね。



(まぁ、あったとしても、誰の手にもは入らないけど。)



「ほぅ。これが欲しいというのか?」



よく通る、低く、冷やかな声音が、突然何処からか入り込んできた。



(やっぱり、来たんだ。)



軽く男を凪ぎ払い、倒れた顔の真横に剣を突き刺しながら、その声の持ち主は男に問う。



「もう一度聞く。欲しい、のか?」




そのあまりの恐ろしさに、男は最早気を失っていて、それにその人物は、『小物が』と呟くと捕らえるように浩大に命じた。



「やはり来たのですね、父上。」



一段落して、僕は目の前の人物に声をかける。これで僕の役目も終えた、と安心して帰ろうかと思っていたのだか。



「…父上?」




愛しい妻を目の前にして、直ぐ様駆け寄るかと思っていた父親が。未だ、冷たい雰囲気を醸し出したまま、僕をじっと睨み動かないでいることに気がついた。



「ちち「お前も、それが欲しいというのか?」

「はい?」



突然、男にかけた言葉と同じことを問いかける父親に僕はついていけなくて。腑抜けた返事をしてして、固まってしまう。



(欲しい?…何を?)



ただならぬ父親の形相に、頭だけは必死でその意味を考えて。

ふと、気付く。恐ろしい事実に。



「は、母上、離して頂けませんかっ、」



そう、母上がいつの間にか僕に背後から抱きついていた。父上から隠れたいとでもいうように。




(ま、まずい。)



一向に放そうとしない母親。僕にも本気で斬りかかってきそうな父親。…本気で勘弁して欲しい。



「へ、陛下だって、抱き合っていたじゃない!?」

「は、母上!?」

「夕鈴、それは「誤解っていうんでしょう!?」



しがみついたまま怒り出す母上に、僕はもう全てが終わったと思った。



(もう、なるようになるといいよ…)



先の見えない二人の喧嘩に(といっても結局のところ母上が一方的に怒っているのだけれど。)、僕はもう現実逃避することにする。



「夕鈴、」



紅い目が僕の後ろの人物をじっ、と見つめ、切な気な声が静まり返った庭に響く。


「私は誓って、君だけだ。」

「君が私の側にいてくれるのなら、何もいらぬ。」

「一日足りと、君を手放したくもないというのに。」

「この三日、君のいないあの場所に一人でいるのはもう限界だ…」

「夕鈴――――…「私も辛かった、です。」



(…あれ?)



「陛下が、そんなことしないって、本当は分かってたんです、」

「でも、抱き合っているのを見たら、どうしようもなくて…押さえられなくて…」

「嫌だったんです、ただ。陛下に、別の人が触れたかと思ったら…」



ごめんなさい、と母上は言おうと思ったんだろう。

気がついたら僕は母上から引き剥がされていて、母上は父上に捕らわれていた。



「へいっ…」



全ての存在を忘れ去ったかのように始まるそれに、僕はただただため息をまたつく。




(いつも結局はこうなるんだよね。)




僕が手を出さなくとも。

散々回りに被害蒙って、僕にそれが飛び散って、何とかしないとって焦っているうちに結局は元に戻るのだ。



「陛下っ!!」



側近と兵が遅れてやって来た。
けれど、目の前の状況に足を止めその場で静まる。




「李順、僕帰るから。」



もう、つきあうものか。投げやりな気分でそこから逃げようと父親の側近に告げ、去ろうと試みる。

僕の"役割"は終えたはずだ。



「殿下、」



そんな僕を李順は行く手を防ぎ、静かに震えながら言う。



「お願いです。あれをどうか止めてきてくださいっ!!」




その切実にな願いに、



「死んでも嫌だ。」




にこりと笑いかけ、即刻立ち去る。
ある夫婦喧嘩に振り回された殿下の一日。






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調子にのって書いてしまいました、殿下話第二段。
いやー、息子書くの楽しかった!!
もはや自己満足極まりないお話ですが、私は満足です←


今回は「夫婦喧嘩を仲裁してみよう~、青慎と絡ませてみよう~」をテーマにしてみたお話。

「青慎とからませてみよう~」なのにいざ出来上がってみると絡みがすくなすぎてびっくり。
もっと二人して夫婦のらぶらぶ被害を語ってほしかったのに・・・・・。
次回にかけたらかきたい、(書くときがくるのか?)


「夫婦喧嘩を仲裁させよう~」では、本当はさらっと軽く収める息子を書こうと思っていたのに、なぜか振り回されまくっている息子に。

自分で書きながらキャラに振り回されているのは私ですね。
振り回されず、思うお話を書きたいものです←


最後に捕捉

今回夕鈴が家出した背景について・・・。

夕鈴が出かけている間に、隣国の使者が訪れます。が、その中に混ざって王女が来てしまいます。突然の訪問に陛下は不機嫌に。しかも王女はいいよってきて陛下に抱きついてしまいます。

それを帰宅した夕鈴が目撃。
私がいない間に~、と家出。

という設定から始まっているつもり・・・。

書ききれなかったので(力尽きて)ここで捕捉ということで・・・。
でもいつかその陛下視点というか、詳しくかいでみたいなぁ。


わかりずらい、ごちゃごちゃしたお話になってしまいこめんなさい(><)
あたたかい目でみていただけると嬉しいです・・・。

では〇゜





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テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

コメント:

No title

笑いが止まりませんでしたww
青慎と殿下の二人はいいですね~。和みます。
 
・・・殿下も大変ですね(遠い目)
殿下が生まれたときも陛下は荒れてそうな感じがします。

今度は老師と殿下の絡みを見てみたいですね。

月並みですが頑張ってください。
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