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ゆめゆめ

2011.11.04 15:12|狼陛下の花嫁 ss
狼陛下(黎翔×夕鈴) ss

ふたりはすでに恋人同士です。
少しR15な部分があるかもなので、それでも良いよというかたのみご覧ください。

――――――――――――――――――――――――――――





シャラン―――……


楽の音に美しい舞姫が舞う。彼女たちの誘うような、妖艶な表情と振りは、なんともいえない雰囲気をかもし出していた。



そのような光景を、次々に運びこまれる料理と酒に下積みをしつつ、ここにいる多数がほぅ、と目を奪われ釘付けになっている。

酒に食事に女。全てがそろっているそれに、今日は誰もが立場や家柄を忘れ、心から楽しんでいた。



今宵は久々の宴。

そんな日はわたしも普段とはまったく異なる装いに着替え、彼の側へと寄り添う。そんな妃に時折、甘いことばを囁き、愛でる陛下。それが宴でのいつもの様子。それがわたしの役目であり、仕事、



だったはずなのに、目の前の光景はなんなのか。



「今日もわたしの妃はなんと可愛らしいことだ。」


いつもの甘い言葉が陛下から囁かれた。



…けれどそれは"わたし"へあてたものではない。



愛しくてたまらないとでもいうように、彼は傍らに寄り添う"彼女"語りかけ、その髪のひとふさを掬い上げると、その髪さえ愛しそうに口づける。





「そんな、恐れ多いですわ…。」


陛下の直ぐそばから、可愛らしい声が聞こえ、その声の持ち主は陛下の行為に頬をそめ、恥じらうように彼の胸にその顔を寄せた。





どくん、どくん、




身体中の血液が波打つのを感じる。嫌な予感と焦りが巡り身体が無意識に小刻みに震えていた。





「へい、か、そちらの、方は…」



やっとのことで訪ねるわたしに陛下は薄く笑った。



「何を今さら聞く?…これは私の正妃、そして私にとってなによりも大切な、最愛の妻。」







言葉をつむぎながら陛下は愛しくてたまらないとでもいうかのように、その視線を彼女に向ける。そして、ゆっくりとその視線を外しすと今度はわたしに向けた。



その目には甘さなどなくて、あるのはこの国の王としての鋭く、冷ややかな視線。

そして、




「夕鈴、君の役目は終えた。長きにわたりご苦労であった。直ちにここより去れ。」







さらりと告げられたその言葉。
がつん、と打たれたような痛みがわたしの中を走る。くらくらと目眩がして、何がなんなのか、何が起こったのか、突然起こった出来事が理解できない。




『へいか…っ、へいかっ、陛下!!』




定まらない視野の中、無我夢中で陛下を見つめ呼びかけた。けれど、何故か声はわたしの中から外へ響くことはない。わたし一人が闇にのまれていような感覚に襲われて、




『陛下っっ!!』




伸ばした腕はむなしく空をきり、ここで意識を手放した。


そんな中で、最後に見えたのは彼が幸せそうに愛する正妃に微笑む姿だった…。







――――――――………







「…っ、はっ…」



目を開けるとそこは宴の席ではなく、見慣れた自身の寝台。薄明かるく、朝靄のかかった様子から、まだ朝が訪れたばかりだと気づく。



(ゆ、め…?)



鳥のさえずりさえ聞こえない、しーんとした部屋にばくばくばく、と心音が乱れ、自分の荒い息だけが耳に入る。



(あれは、夢?それとも現実…?)



あまりの衝撃的な出来事に、今すら夢なのか現実なのか定まらない。ただただ先程の場面が頭を過り、焦りと不安で頭が働かなくて、目の前が真っ白になった。



(落ち着け、落ち着くのよ汀 夕鈴!)



必死に自分に言い聞かせるが、焦るばかりでくらくらする。うなされたせいか、喉のかわきがひどく声も出ない。




(水、…とりあえず何か、何かのまなくちゃっ、)





そう思い起き上がろうとしたが、何故かなかなか起き上がれない。何かが自分に絡み付いていることにここで始めて気がついた。





「…ん、っ――――…」





混乱したまま、無意識にそれから逃れようともがいてみる。その瞬間、誰かの吐息か聞こえて、何かが更に強く絡み付いたかと思うと一気に引きづられてしまった。




(ええええええええええぇぇぇ―――――っ!?)






抗うまもなく、なされるまま引き寄せられる。何かに頬があたり、動きは止まった。

ばくばくばく、先ほどとは違う焦りで速まる心臓。驚きながらもそっと見ると誰かの腕の中にいるようだった。




(この、感覚…この匂い…)




それが直ぐに誰のものかわかり、先ほどの焦りが嘘のように一気に落ち着く。


この胸も、腕も、自身に触れる全てがこの感覚を知っている。そして、深くこの感覚は自身に刻み込まれ馴染んでいて心地よい。



ほっ、と一息つくと、どんどん頭が覚醒してきて、これが現実だとはっきりしてくる。


そして陛下とわたしは服というには心細いような布のようなものしかまとっていないことも。



(ぎゃ―――――っっ!!)




恥ずかしさでいてもたってもいられなくて、逃れようとしたが、直ぐ近くからスー、スー、と寝息が聞こえ、慌ててグッ、と押さえた。



(寝て、る?)



そっと顔を上げ彼を見る。いつもだったら嬉しそうな、どこか楽しんでいる彼と目が合うはず。

けれど、しばらく見ていても、その頬に手を触れても一向に目を開く様子がない。




(珍しいこともあるのね…。)




眠りが浅く、少しの物音でも起きてしまう彼が起きないだなんて。




(このところ忙しそうだったものね。)





少しでも時間があけばわたしの所を訪れる陛下。けれどここ一週間というもの、一度も訪れることができないほど、激務が続いていた。


一週間もゆーりんに会えなかったなんて限界だよー、と昨日の夜更けに、逃げ込んできたのを思い出して、クスリと頬が緩んだ。


その後のことは笑えないのだけれど…




一週間会えなかったせいか、何度も何度も求められて、なかなか眠りにつくことができなかった…よく見るとあちこちに紅く花がさいていた。




(もうっ、もうっ、もうっ、!!)




つい数刻まえの生々しい光景を思いだし、カァッッと顔に熱が広がるのを感じる。




初めての行為ではない、それなりに回数は重ねてきた。けれど夕鈴にとってはどんなに回数を重ねようと恥ずかしいものは恥ずかしい。ましてや慣れるだなんてありえないことなのだ。




ひとりうろたえるわたしに気づかず、穏やかに寝ている陛下がどんどん憎たらしく思えてくる。

いっそ起こしてしまおうかという考えが頭を過るが、せっかく休息を得ている彼を邪魔するのはやっぱりしたくない。





(こうなったら、寝ている陛下に好き勝手させてもらうわっ!!)




いつもは夜も、(陛下に意識を飛ばされてしまうため)、朝も(わたしが起きると必ずといっていいほど起きていて、にこにことわたしを眺めている)ので彼が寝ているのを見れるのは本当に珍しい。

いつも見つめられるのが恥ずかしくてあまり彼の顔を見ていられないので、これはチャンス!!とばかりに彼の顔をじっくりと眺めてみる。



(綺麗な顔…)





すっきりとした輪郭に、スッとのびる鼻。形の良い眉に、今は閉ざされているが、時に甘く、時に厳しく恐ろしい、けれど美しい瞳。




(ずるい、男の人なのに綺麗だなんてっ)




その造りに自分の平凡さを思い知らされる。自分は美しいわけでも、紅珠のような可憐さもない。




(綺麗な人、だったな…)




先ほどの夢がふと頭を過った。

顔は見ていないし、はっきりと彼女を思い出せるわけではない。けれど、陛下と並ぶ姿が恐ろしいほど似合っていたことだけははっきりと覚えている。



美しく、気品に溢れ、誰から見ても似合いの王妃。その王妃を心から愛する陛下。



『君の役目は終えた…』

『…去れ』




本当に言われたかのようなリアルさだったそれは、頭に媚りついてはなれない。





(……いつかは、訪れることだわ…)





そう、夢だけれど、夢ではない。これから訪れる未来(さき)の光景。





このバイトを始めた時から、それは変わらない事実だ。

…たとえ彼と想いを通じ、肌を合わせる関係になったとしても。



この関係はまだ誰にも知られていない二人の間での秘密。だからまだ、夕鈴は本物の妃ですらないのだ。



本物になることを拒んでいるのはわたし。陛下はわたしを得たその時に、直ぐにでも正妃にしようとしてくれた。



泣くほど嬉しかったのを覚えている。けれどそれと同時に悲しかった。



こんなにも優しいこの人に、全てを一人背負い込んでしまう孤独なこの人に、


わたしはあげるものも、返すものも、支えるものも、

なにも、持ってはいない。


この人を愛しいと想えば想うほど、愛されれば愛されるほど、その事実が悲しくて悲しくてたまらなかった。



彼のために何かしたい。



それはどんな関係になろうと変わらないわたしの想いだった。




だから、わたしはそれを受け入れなかった。
いつか彼を支えられる誰かをそこに置くために。それがどれほど自身を傷付けようとも、わたしにはそれしか彼にしてあげられることがないのだ。




たとえ、わたしにだけ向けていた微笑みがわたしでない誰かにうつろうとも。

たとえ、熱く、慈愛に満ちたあの視線を、わたしでない誰かが一身に受けるようになろうとも。

たとえ、甘く囁かれるあの言葉をわたしでない誰に囁かれるようになろうとも。

たとえ、優しく、とろけそうなあの人の体温に触れられるのがわたしでない誰かになろうとも。



夢であって夢ではないあの夢。
その時がくるのはいつなのだろうか。彼の愛を疑ってはいない。けれど、そうしなければならない時がいつかはくるのだ。

彼の事だから、想いに反していても上手くその人を愛すのだろう。もしかしたら
その人を心から愛すようになるのかもしれない。あの夢のように。


それを思うとズキン、と胸が痛む。頭とは別で心は正直だ。



そして体も…。



ツーッ、と頬を滴がつたった。ほろほろと、とどまることをみないそれに焦り、急いで手で拭う。





「ゆう、りん…?」




ふと急に、頭上から声がした。



(おき、ちゃった…の!?)



こんな所をみられるわけにはいかない。きっと彼は驚いて、その理由をなにがなんでも聞き出そうとするだろうから。




「おはよう、ございます…陛下、」




ぐっと涙をこらえ、笑顔を張り付ける。震えそうになる声を必死で正した。



「おはよう…」



まだ眠いのか気だるそうな返事が返ってきて、ほっとする。




「今日は早く起きていたみたいだね、」



どきん、



「は、い。何だか喉が乾いたせいか早く目がさめてしまって…」



大丈夫、大丈夫。



「そうか。…昨晩は少し無理をさせすぎた。君があまりにも足りなくて、愛しくて、つい加減ができなかった。」



スッと目を細めて、子犬から一変した陛下が囁く。



「え、」



「声が掠れている。…酷使しすぎたな。」



そういうと彼の熱がわたしから離れていく。



「へい、…―――――んっ、ぅ」



かと思うと直ぐに熱が近づき、彼を呼ぶわたしの声は彼のくちづけに飲み込まれた。



優しいくちづけから何かが喉の奥に押し込まれる。ひやりとしたそれが喉を通るとすこし楽になった。




「―――っっ…っは―…んっ」




全て水分がわたしに移り終え、終わるかと思ったのにその行為。けれど終わるどころか激しさをました。

軽いくちづけがいつの間にか、歯をわり、陛下の舌が入り込んではわたしの舌を捕らえた。


「んっ、…は――――っ」



朝になったはかりだというのに、漏れる息といらやしく室内に響く唾液が溢れる口内で舌が絡み合う音。




「っふぁ、――…んっ、はっ――――…」




散々口内を乱され、やっと満足したのかそれからしばらくして、彼は唇を解放した。名残惜しそうに銀糸が伝う。




「どう?少しは楽になったでしょ?」


はぁ、はぁ、と息がまだ荒いわたしに陛下はにこにこと微笑み訪ねる。



「楽に、って、急に何するん、ですかっ!」



「だって夕鈴、喉つらそうだったから…」



「だって、じゃありま、せんっ!楽どころか、苦しい、ですよっ!水くらい、自分で飲めますし、直ぐに離してくださいよっ!!」


「えー、それじゃつまらないよー。」



「つまる、つまらないの問題じゃないんです!」



「そうかなぁ。」



「そうですっ!!」





(まったく、直ぐこれなんだからっ)



またされたら、朝から身が持たない。彼の胸を押し返し逃げようと試みる。


が、



「だめだよ、夕鈴。僕から逃げることなんて許さないよ。」



「もう、いい加減にっ「で、君はさきほど、何に憂いていたのだ?」」




さっきまでのにこやかな雰囲気は一変して、ピンと空気か一気にはりつめた。



「へい、か…?」



「何に悩み、何が君を不安にさせる?」



「何を想い、その愛らしい目から涙を流すのだ?」




どくんっっ




一気に緊張感が押し寄せる。どくんどくんと、焦り速まる心臓に呼吸がしづらい。



「起きて、?」



「いや、腹立たしいことだが、君が泣いたところで起きた。」




そう言うと彼は顔を歪める。



「…なんでもありませんよ。泣いてなんかないですから…陛下の見間違いです。」


どくん、どくん、



「そんな訳はないだろう!?」



どくん、どくん、



「いいえ!!気のせいです!!本当に、何でもないんです、」



何でもない。バレる訳にはいかないの。これはわたしの彼にたいして唯一の秘密。決して知られてはいけないわたしの想い。



「夕鈴!!」



そんな想いに必死なわたしを彼は強く呼んだ。

そして無意識に彼から逃れようとしていたわたしを彼がぐっと引き寄せ、あっという間にシーツに組み敷しく。


見上げて見える彼の表情と、そのかもし出されている空気に思わず固まってしまった。



「夕鈴。君の嘘など直ぐに分かる。私にはそれほど言えぬ事なのか?」

「私にはそれを放って置くことは出来ぬ。君は私の最愛の妃、唯一の愛すべき、愛しい妻。君が私に隠れて泣くことは許さぬ。」



彼らしい強い言い方、なのにどこか声が揺れていた。



怒っているのか、悲しんでいるのか、苦しんでいるのか、…どれともとれる表情の彼に泣きたくなった。



「ごめ、んなさい。ただ、夢をみたの…。」



はらはらと、涙と言葉が溢れた。



「いちばん、見たくなかった夢、」



陛下は黙ってそんなわたしをただただじっと見つめていた。



「怖かった、私はそれをずっと恐れていたの…」




「夕鈴―……」




はらり、こぼれ落ちる滴。そっと触れる陛下の手がそれを拭った。

その手をわたしは震える手ですがるように掴んだ。まだ、この人はわたしの側にいる。




「夕鈴、私の想いは変わらない。」



何かを感じとったのか、彼はそう囁いた。



「未来永劫、私の愛は君のものだ。」



紅い瞳がわたしを捕らえる。強く、わたしを貫くような目であなたは何を感じてそれを囁くのか。



「へい、か…「だから、…僕から去ろうとしないで、」



「僕を思うなら、側にいて…」



重ねた手に、彼はそう言うと額を寄せた。願うように、しがみつくように。その表情や想いは顔を見れなくとも伝わってくる。



彼も怯えていたのだろうか。本物になろうとしないわたしに。逃げ道を作っているわたしに。




「側に、いますよ…?」


陛下が望む限り。
その時がくるまで。



それはいつ訪れるのかはわたしにも陛下にもわからない。けれど、どうかその日がまだ先でありますように。




「陛下、ぎゅとしてください…」




あれは夢だけれど夢ではない夢。
いつかくる未来。


けれど、今はまだわたしはここにいる。
この場所はまだわたしのもの。


強く抱きしめる陛下をわたしも強く抱きしめかえした。




-------------------------------------------------


はぁーっっ!

やっとなんとか書き終えました~。まえまえから書いてみたかった[陛下と夕鈴は恋人同士にはなったけれど、妃未満のお話]。設定とかお話の流れとか頭のなかで作り上げていたはずなのにこのお話を書き終えるのに3日もかかってしまいました><;;思いの外難産っっ!!

しかも、皆には内緒でめっちゃいちゃいちゃさせよう!だなんて思っていたのに、できあがってみると、あれれれれ――――――!?なくらい暗いお話に…やっぱり文才がないと言うのは辛いものです;;

でもとにかく狼陛下の花嫁ss第1段です。まとまらない文章でごちゃごちゃしちゃっていますが、暖かい目でよんでいただけると嬉しいです。

では。



2011.11.4
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テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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